百貨店と民藝の時代 1,900年〜2,000年

二十世紀に入り、工芸の流通は劇的に変化し、百貨店がその中心を担います。百貨店ではさまざまな工芸品が扱われましたが、中でも大島紬が百貨店モデルの顕著なものです。大島紬は博覧会や品評会を通して製品イメージを高めながら、産地問屋が流通の担い手になり、物産展や百貨店をはじめとする商店へと展開されていきました。大島紬の製作は三十段階ほどの分業した工程からなり、図案から製織まで約六ヶ月〜一年をかけて作られます。零細な紬業者に対し、買継商や仲買人が意匠や技術の指導、市況の伝達など広範な役割を担ったと言われています。彼らが介在することで、呉服店や百貨店への流通網が整備されていきました。

百貨店モデル

20 世紀に入り、工芸の流通は劇的に変化した。その中心を担うのが百貨店という存在であり、大島紬も百貨店で取り扱われた商品だった。
多品種少量生産の高級呉服の販売には、分業化された広域のネットワークを持つことが必要であるが、集積地問屋や買継商、仲買人が介在することで、呉服店や百貨店への流通網が整備された。

No.001

大島紬 Ohshima Tsumugi

拡大する流通網によって全国へ広がる奄美の紬

大島紬